気になる過去 5
多くの交友関係を持っていたにしても、ひとりのクーチュリエールが考えつくにはあまりにも奇想天外な発想でした。
当時の状況はそれどころではなかったし、まただからこそ発想しえたことなのかもしれません。
その頃のSSの長官、シェーレンベルクはナチス一辺倒ではなかったから、彼女の提案をきき入れた。
結果は不首尾に終わるのだが、1945年、ナチス崩壊後、彼はニュルンベルクの裁判にかけられる。
誰もが見捨ててしまったその彼を援助したのはシャネルでした。
やがて彼も死に、これもまたすべては闇にこめられてしまったあとで、シャネルはスイスから引きあげます。
以来、彼女はこの件についても全くの枕黙を守った。
いずれにしても複雑な帽子作戦に関しては、軽率にシャネルを非難するのは絶対に避けなければならない。
少なくとも彼女流のやり方で行動したのだし、大きな賭であったのは事実です。